はてなユーザの困惑 キャプサイトの混乱

はてなが住所の登録を義務付ける方針を示したことによりユーザの間で困惑が広がっていますが、「プライバシーポリシーの見直し、住所登録スケジュールの延期について」のテレビ局など著作権保有者から著作権侵害に関して少なからぬお問い合わせを頂いておりますという記述から推測するに、透-架さんのTransparencyや雪華かずろうさんのhttp://www.snow-mousse.com/などのいわゆる「キャプサイト」が自粛の傾向にあることと少なからず因縁がありそうです。

上記サイトなどから得られる情報を総合すると、2chで「上級厨房」と名乗っている人物が、何故かキャプサイトにただならぬ敵意を持っていて、代表的なキャプサイトについて著作権の侵害がある旨TBSにメールしたところ、xii-iix.info - Registered at Namecheap.comの「xii。」氏のところにTBSから「警告メール」が送られたようです。その後のメールのやりとりから、著作権法で定義されている引用の範囲とそのTBSの解釈について同サイトで示され、それを受けて他のキャプサイトもキャプチャの掲載を自粛する方向に向かっているようです。

また、はてなfotolifeサービスを使ってキャプチャの掲載をしていたサイトがあったそうですから、当然はてなにもTBSから同様のメールが届いたことと推測されます。

なお、はてな

現行の法体系の下では、何らかの違法な日記の作者を氏名・住所等で特定することができない場合、ユーザーによる違法行為を教唆・幇助したとして、はてなが法的責任を追及されうることが分かりました。

としており、その根拠として「ファイルローグ」裁判の判決を挙げています(Ref. id:hatenadiary:20041103#1099458855)

この判決の解釈については、専門家の間でも意見が分かれているようです(Ref. 弁護士 落合洋司 (東京弁護士会) の 「日々是好日」 2004-10-03 「発信者」性について(小倉弁護士の見解に関連して))が、とにかくこんなような経緯で住所登録が必要になったようです。

ところで、何でまた今さらキャプサイトが問題になったのでしょうか。

雪華さんとこで紹介されていた「【海神】放蕩・楽画喜堂をオチするスレ8【なるせ】」という2chのスレッドによると、どうも「キャプチャで客寄せしてAmazonアソシエイトで儲ける」という図式があって、それが気にくわない人が多いようです(この図式が全てのキャプサイトに当てはまるわけではないのですけれども)。

なお、このスレで「キャプが宣伝にもなってる」旨の発言をすると容赦なく叩かれるようですが、「キャプが宣伝にもなってる」というのは言い訳でも詭弁でもなく事実と思われます。これが事実でなければ、キャプサイトが「キャプチャ+Amazonアソシエイト」のコンボでそれなりに儲かるという図式が成り立ちません。

つまり、「Amazonアソシエイトで儲けているキャプサイトはけしからん」という主張と「宣伝にもなっているというのは詭弁だ」という主張を同時にするのには矛盾があります。

とはいえ、いずれにせよ著作権法で定義されている引用の要件を満たさず、かつ著作権者の許諾を得ていないキャプ画像はすべて無断転載になりますから、著作権者が本気になればキャプサイトの多くはキャプ画像を削除せざるを得ないでしょう。

しかしながら、キャプサイトが宣伝になっているのであれば、著作権者が積極的にキャプサイトをつぶしにかかることはないと推測されます。この推測が妥当であろうことは、いみじくも上級厨房氏自身の書き込みが物語っています。

945 :上級厨房 ◆7vRO1wDh9. :04/10/27 21:46:23 ID:???

俺はな、サンライズにも、インフォシークなどの鯖にも、そのアニメ会社にも、
TBSにも、AT-Xにも、メール送ってんだよ。
著作権者がことごとく無視してるから武力抗議せざるを得なくなる。
シカトこくなら最初から"著作権侵害は対処するという明文"をサイト上に書くなっつーの!!!!!

著作権者とキャプサイトとは暗黙の結託関係なのですから、著作権者にとってキャプサイトをことごとくつぶすことにメリットはありません。 しかし、アニメは「映画の著作物」としての性質があることと、原作つきならば二次著作物でもあることから、建前として著作権侵害に対処すると言わざるを得ない「大人の事情」があります。そして、違反を認知したことが明確な場合はそれに対処せざるを得ません。 つまり著作権者としては、見て見ぬふりをしたい部分が少なからずあるわけです。それなのに程度や状況を見極めずなんでもかんでも暴露するような人は「空気が読めない人」なのではないでしょうか。 放っておいても、あまりに度を超した場合は著作権者がきちんと動くという前例もあります(Ref. Webサイト「gameonline」の運営者、ゲーム画像の無断掲載で逮捕)。それにも関わらず手当たり次第メールを送ったりするのはナンセンスであるような気がしてなりません。 (この話の続き→ 「暗黙の結託関係」としたたかなテレ東