2ちゃんねるなんかなくたって「突撃厨」みたいのは昔からいたようで。

絵文録ことのはの松永氏のこの記事について。

長文なので全部読むのは大変なのですが、実はほとんどがケーススタディなのでとりあえず飛ばして、松永氏本人によるまとめを読めば大体の主張は分かります。

まあ、あれですね。松永氏は一応、「こういうのは2ちゃんねるに限った話だ」とか、「2ちゃんねらは全員そういう奴らだ」とか、そういう話をしているつもりはないのでしょうけど、タイトルがアレですし、ケーススタディがみんな2ちゃんねるがらみですからね。はい。

いずれにせよブログを炎上させたりとか自宅にまで押しかける突撃厨がいたりとか。そういうのって2ちゃんねるならではって感じです。

ただ、私はこういう話を聞くたびにいつも「隣人訴訟」の話を思い出すのです。

これは昭和50年代の話で、私はそれを題材にしたドラマの再放送を見て知ったんですが、やな話ですよ。概略を「知のフロンティア講座」から引用します。

ある新興住宅地でAさんが買い物に行く際、Bさんに使いに行くからよろしく頼む旨の依頼をしたのに対して、Bさんは「子供たちが一緒に遊んでるから大丈夫でしょう。」と言った。

買い物から帰って来るまでの30分程の間に、子供たちは空き地から溜池の方へと行き、Aさんの子供は深みにはまって死亡。

この後がすごいのです。

その後、Bさん夫婦が「Aさんはまだ若いんだからまた産めばいい。私たちに責任はない」と言っているとの住宅内の噂がAさんに伝わってきた。その責任感のなさに激怒し訴訟を起こした。

いやー、2ちゃんねらどころかマスコミも大騒ぎしそうな話ですね。

実際大騒ぎになったそうです。当時は2ちゃんねるなんて影も形もありませんから、マスコミがめちゃくちゃ煽ったみたいで。

興味深いのは、マスコミに煽られた人々の行動です。先ほどとは別のページから引用します。

判決は預かった側の親に263万円程度の損害賠償を命じるだったが、この判決がマスコミにより「隣人の好意に冷たい裁き」というトーンで報道されると、原告宅には脅迫電話が殺到し、たまりかねた原告は訴えを取り下げた。ところが被告が取下げに同意せず、そのことがまた報道されると、今度は被告宅に「お前は人殺しだ」式の電話手紙が殺到し、ついに訴え取下げに至った。

(うろ覚えですが)私が見たドラマでは、郵便受けはいっぱい、電話は鳴りっぱなし、極めつけに窓ガラスに石投げられてました。居留守を使うために電気もつけられず、暗闇のなか子供たちを抱えて震える親……というのはまあ演出過剰なのかも知れませんけど。

ちなみに前述の「知のフロンティア講座」によると、その後Aさんは寝込み、夫は解雇、親類や子供も嫌がらせを受けたのだそうです。

しかし怖いですねえ。2ちゃんねるがない時代にも「突撃厨」みたいのはいたんですね。

繰り返しますが昭和50年代の話ですよ。『ひぐらしのなく頃に』の時代ですよ(っと、そう考えるとむしろ納得がいく?)。

まあ、隣人訴訟の経緯についてはマスコミの過剰報道があったのはたしかでしょうが、いずれにせよ「悪者認定」されてしまうと寄ってたかって(文字通り)石を投げられてしまうんですね。でもって自宅に押しかけるような行き過ぎた行動をとる人もでてくる、と。

昔からこういう話があったとなると「2ちゃんねるが、2ちゃんねるが」と言ってても何も変わらないような気がしてきます。