「アメリカ人は作るな!」の『ハリー・ポッター』

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(Ref. Yahooの映画情報)を観ました。監督が替わったとのことで、前2作よりは映画として面白くなってた気がします。前2作は飽くまで原作のダイジェストでしかなく、「原作読んでない人お断り」だったので。まあ2時間程度で纏めるのは大変なのはよく分かるんですが。

で、今回の第3作。とにかく、映像は美しいと思います。冒頭の「夜の騎士バス」のシーンでは無駄に魔法を使って疾走するのが楽しいです。一応、「一般人(マグル)に気づかれないように魔法を使う」はずなのですが、むしろ魔法を使いたくてわざわざ厄介なルートを採っているようにしか思えません。でも、そこが楽しい。

それにディテールが凝ってます。ロンドンの「漏れ鍋」でも、魔法の給水器とかの魔法の日常用品がさりげなく出てくるあたり、良いです。細かいギャグも良かったです(ハリーの「あれは痛い」とか、ああいうのは結構好きです)。

しかしながら、ハリー・ポッターの醍醐味はシリーズを通した謎解きにあるわけでして、その点において大いに不満でした。

特に『アズカバンの囚人』は、クライマックスで綿密に絡まった伏線が解きほぐされるのがカタルシスなのですが、そこのところが映画ではあっさりというか、むしろ全く説明されなかったので、消化不良もいいとこです。まあ確かにややこしい話なんですけど、映画で説明できないほどかといえばそうでもなく、むしろ映像化することで原作よりわかりやすくできるはずなのに、やってない。

結局はアメリカ映画に過ぎないってことですかね。アメリカで大衆に受けるようにするためにはややこしい要素を排除しないとダメなんでしょうかね。子供向けと目されるような作品の場合は特に。もし本当にそんな理由で単純化されてるんだとしたら、アメリカでは作ってほしくないですね。

あと、実は字幕版を観ちゃったんですよね。字幕の担当はあの悪名高い戸田奈津子氏。

ロード・オブ・ザ・リング 字幕問題について
http://www.kyo-kan.net/column/toda/index.html

まあ、ハリポタの方はそんなにダメダメというわけでもなかったんですけども。前2作では既に出版されている松岡佑子氏の訳を無視してわざわざ変な訳語を創出してたりして鼻についたのですが、今回は割と準拠してました。

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 ハリー・ポッターシリーズ第五巻 上下巻2冊セット(5)

なお、原作は5巻の日本語版が9/1に発売されますし、映画も次作の情報がちらちらと公表されてきてます。ますます広がるハリポタワールド。これからも目が離せませんね(と、提灯記事っぽく締めてみる)。