「そんな、役に立つような物は数学じゃないんだ」

鯛焼きうどんの生態 - 私信より。id:pusherさんの友人の台詞だそうで、実にかっこいい。しびれます。

「中学や高校でやるような『数学』は数学じゃない。算数だ」──なんて物言いを良く聞きますが、そんなものは軽く通り越しています。

これをpusherさんは次のように解釈しています。

数学というものは純粋にただ数式のみを扱うべき物であって、何かの物理量や定数を意味するようではいけない、というのだろう。

「10×10=100」という式が出てきたとき、これだけ見ても何を意味するのかは不明です。「10円チョコが10個で100円」かも知れませんし、あるいは「一辺10メートルの正方形の面積が100平方メートル」かも知れません。

このとき、この数式に出てくる数はそれぞれ金額や個数や長さや面積を表すことになるわけですが、そんな意味づけをしてしまったら完全アウトなのです。

そんなことしたらこの式が「役に立っちゃう」のです。

「10×10=100」が何を意味するのか。数学者はそんなこと全く預かり知らん、と。自然数とその積を定義したらそういう演算ができる、と。ただそれだけの話。それどころか「10×10=10」になるような話を考えたりとか、そういうのが数学なんですね、きっと。逆にそんな意味づけをしない限り「10×10=100」なんて単純な式でもちゃんと数学である、と。

まさに「役に立ったら負けかなと思ってる」ってやつで、その姿勢は実に潔く見えます。

この見地に立てば「応用数学」なんてのは形容矛盾に他ならないわけですが、そのへんどうなんでしょう。

ちなみにはてなキーワードでは次のように説明されています。

純粋数学を現実の問題にあてはめる。例えば、現実の問題に現れる微分方程式の解の様子の解析などが盛ん。殆どの微分方程式非線型で、解ききるのは難しい。

これを悪魔の辞典風に書くと、

役に立つものを役に立たなくする学問。例えば、現実の問題を何かの公理系に基づく数学的に美しいモデルで記述するなどといったことが行われる。ただし、それを解くのに無限かそれに近い時間を必要としなければならない。

──といったとこですかねえ。