インターネットでの選挙活動にアレが有効かも

とりあえず衆院選は終わりましたけど、前に書いた記事ではなんだか反民主主義的主張をしてるみたいになってしまいましたので、そのフォローをしながら、インターネットでの選挙活動の可能性について書きます。

前記事のフォロー

前記事というのはこちらですが、

まず、浅羽氏の言説は日本で比例代表制が導入される前(1993年)に書かれたものです。だもんですので、(当時の)社会党共産党、その他当選の見込みが薄い候補者に投票してもほとんど死に票になるという事情がありました。

組織票でも何でも使って得票数を押し上げないと一票が「力」にならなかったのです。

で、私としては、浅羽氏の言説を紹介した最後にVIP派の主張を持ってきたことで「組織票には組織票で対抗せよ」というつもりだったんですね。別に民主主義自体を否定してるわけではないんです(組織票自体が反民主主義的だという主張の持ち主には同じことかも知れませんけど)。

まあ、タイトルがまずかったかもしれません。

しかし盲目的に国民主権、民主主義を信奉しているとせっかくの選挙というシステムを生かせないというのが浅羽氏の主張であり、私もそれに同調するのは確かです。

比例代表にはもちろん有効

でも今は比例代表との並立制になってるので、日本の政党政治が機能していると判断する人にとっては一票の力が効いてる実感を得やすいです。

ただ、なんにしても「白票でもいいから投じるべきだ」という主張がナンセンスという結論には変わりなさそうです。今の選挙のルールでは白票が増えたところで何も変わりません。

劇的な変化があれば話題にはなるでしょうけど、実効性は問わず話題性だけでいいんだったら、そのぶん投票率が下がった方が話題にはなります。

いずれにせよ、そういう事態になると何が起きても絶対投票に行く人達──具体的には創価学会をバックに持つ公明党がのさばりそうです(他の党もそれぞれそれなりの組織票を持ってるんですが、それはともかく)。特に比例代表のほうはその影響がもろに出るでしょう。

そういう状態はあまりよろしくない、というのがVIP派まとめにある「どうして選挙行かなきゃいけないのか?の図解」の論拠でした。

意外に効果が期待できない小選挙区

比例代表では確かにそうかもしれません。問題は小選挙区です。小選挙区の方では浅羽氏が指摘したような事情がそのまま残っています。

小選挙区制においてどうして選挙行かなきゃいけないのか?の図解で示されている戦略がどの程度有効なんでしょうか。

各政党にとって「どの選挙区にどの候補者を出すか」という問題はカードゲームに似ています。オールマイティのジョーカーが出てる場に、強いからといってエースを出すような行為はカードの無駄遣いです。逆に弱いカードしか出てないところにジョーカーを出すのも同様に無駄です。

ですから手持ちのカード(候補者)ができる限り生きるような戦略を立てるわけです。そのための大きな指針となるのが手堅い票、即ち組織票です。最近は浮動票も無視できませんが、当然その予測もした上で戦略を立てます。

さて、公示前は政党同士のカードゲームだったのが、公示後は候補者V.S.有権者のカードゲームになります。

有権者は自分が支持する政党(候補者)が立てた戦略ができるだけ生きるように、あるいは敵対する政党が立てた戦略の裏をかけるようにカード(票)を出すことができます。

これは有権者が後出しという、有権者にとって有利なルールです。

もちろん一票の重みがめちゃくちゃ軽いというハンディがありますが、ガッツリ束ねることで大きな力になります。候補者の予測の裏をかく戦略を立てることは可能です。

これはすなわち、組織票の母体になる団体の裏をかけるということでもあります。

しかしながらそのためには意思の統一が不可欠です。トップをとらないと議席を得られないのですから、票が割れてしまうと意味ないからです。

VIP派が公明党を落としたいというのだったら、他の候補者のうちの誰か一人に票を一極集中させる必要があります。

じゃあ誰に一極集中させるべきかというと、それは選挙区によって事情が異なります。したがって必然的に選挙区ごとの戦略が必要になります。

こうなると、「地理的な制約がない」というインターネットの特徴が裏目に出てしまいます。地域との結びつけが稀薄になるので、実はインターネットでの選挙活動は期待するほどの効果を発揮しないんですね。

地理情報提供サービスはもっと頑張れ

そういう意味ではMapionの総選挙特集は、地域とインターネットを結びつける仕組みとして上手く機能する可能性がありました。地図を検索すると各都道府県の候補者リストへのリンクが発生するようになっていたのです。

でもまあ、それも割と中途半端と言っちゃあ中途半端です。こういうのに向いた地理情報提供サービスはズバリはてなマップでしょう。

はてなアイデアのシステムを使った総選挙はてなが話題になりましたが、これにはてなマップも絡めると実はもうちょい面白いことになってたんじゃないかと思うわけです。

「おいしいお店」というタグが付いたページを検索するとおいしいお店の分布が表示されるのと同じように、候補者の分布を表示するなんてことは今のままのシステムで十分可能です(追記:これだけなら@nifty:NEWS@nifty:衆院選特集・2005・小選挙区マップで十分ですね。最初この記事書いたときはボケてたみたいで何故か見逃してました)。政党毎の表示だって思いのままです。

はてなマップならそれに自由にメタ情報を付加できるのです。

まあ、公職選挙法との絡みがどの程度まで問題になるかという課題もありますが。

これがはてな大好きっ子の寝言に過ぎないのか、実は既存の選挙活動をひっくり返す力を持つのか、色々考えると次の参院選が楽しみになってきます。まあ、今回の衆院選ほどは盛り上がらないでしょうけど。