「ほげ」という言霊は実は深いのだよ

いやしくも情報科学を専攻している大学生に「hoge ってなんですか」と訊かれてしまいました。最近の大学生は hoge すら知らないのでしょうか。実に嘆かわしいことです。

hoge とは、すぐ消すもの、あるいはどうでもいいものにとりあえず付けておく名前です。

森岡浩之氏が書いた「夢の樹が接げたなら(isbn:4150306907)」という単行本を読んだことがある人は「アレ」を思い出すかも知れません(激しくネタバレになるので「アレ」と書くにとどめておきます。興味を持った方は是非読まれてはどうかと)。

もちろん、日常生活を送る上ではそんな言葉は必要ありません。しかし、何にでも名前を付けなければならないコンピュータの世界においては、hoge は欠かすことのできない言霊です。

中間ファイルにはとりあえず hoge。どうでもいい変数にもとりあえず hoge。もう hoge があったら hogehoge。hoge に飽きたら fuga …と、その可能性は無限大です。

海の向こうでは foo, bar が同様に使われているようですが、hoge は音声学的に美しいばかりか、タイピングのしやすさにおいても foo, bar とは一線を画します。皆さんもお手元のキーボードで hoge と入力してみてください。

いかがでしょう。

左右がほぼ対称の実に美しい指の動き。hogehogehogehogehogehogehoge... と連続して打ち込んでも疲れを感じさせません。

こんな素敵な「ほげ」についてもっと知りたい人は、『ほげを考えるページ』をご覧になってはいかがでしょうか。特に小論文『なぜ「ほげ」は同時多発的に発生したのか』は、学術的にも非常に価値のあるものです。

ちなみに、「コンピュータにおいて何にでも名前を必要とする問題」については、 umz 氏の『名前のない世界』において非常に面白くまとめられています。