無断リンク容認とネトラン否定は矛盾しないことも
ちょっとの間フラッシュ制作にかまけてたら、こないだ無断リンクについて触れていた(Ref. id:okgwa:20040513#p1)もなみさんの「もなQぽぉたる」がすごいことになってました。なんと 4日連続で無断リンクの話。
もなみさんが本当に言いたいことはよく分かるし、賛同できるんですけど、手段というか根拠が微妙に間違ってる気がします。中にはあまりにもひどいのがあるので今日からちょっと特集を組んで、無断リンク容認の立場からものを言います。
今日はまあ、部分的には頷ける「実は掲載もフリー」について。
リンクフリーを主張される方々は、ネットランナー誌様による無断掲載についてどう思っているのか、ということなんですー。
もちろん、絶賛ですよね?
というもなみさんの発言は、「無断リンク容認とネトラン否定は相容れない考えであり、それを両方とも主張する人は、結局対象によって自分に都合のいいように基準を変えるような自己矛盾を抱えている人だ」と、つまりいわゆるダブルスタンダードだと言いたいようです。
さらにもなみさんはこのようにも書いています。
一部肖像権違反になりそうな例外を除けばネットランナー誌様による無断掲載に法律的な問題は無いですからねー。
そんなことは当たり前で議論の余地はほとんどなく、引用の要件さえ満たせば「無断掲載」に違法性はありません。ただし、いわゆる「リンクフリーの問題」が最近取りざたされることになったきっかけの『とらぶるうぃんどうず』については MS の商標権侵害の可能性がありますので、まさに「例外」です。もちろん、ここで問題になるのは『とらぶるうぃんどうず』の違法性なんですが。
それより無断掲載に法的な視点から批判を加えている意見なんかあるんでしょうか(あるとしたら反論されてしかるべきですが)。ネトランに対して怒っている人は、もなみさんのおっしゃるとおり、道義的な問題で怒っているんじゃないでしょうか。
無断リンクも無断掲載も法的には問題ないわけですから、やるかやらないかを相手の良識に委ねなければならないという点において、いずれも道義的な問題です。
そうなると「ネトランは商用だからダメ、個人ニュースサイトは商用じゃないからOK」という主張に矛盾はありません。これはつまり、「みんなが非商用でやってるネタで金儲けするなんて、道義的にどうよ」ということなんですから。
したがって、無断リンク容認かつネトラン否定という立場はダブルスタンダードではありません。きちんと「商用か否か」という基準のみで話をしていれば、という条件が必要ですが。もし、「商用か否か」なんていう基準は認めないというのなら、そもそも「道義的な問題」について語ることなんか無意味になってしまいます。
まあ、無断リンクについては道義的問題を無視しておきながら、ネトランには道義的問題を持ち込むというダブルスタンダードな人はいるでしょうし、もなみさんが言いたいのもそういうことなんでしょう。
それに、「ネトランお断り」といったところでネトランは勝手に掲載するでしょうし、それを止める法的根拠もないという事実に変わりはありませんから、あんまり実効的ではないですね。
ただ、個別の問題としてみると、ネットランナーがやってる無断転載のすべてが本当に引用の範囲か否かは議論の余地があります。無断リンクは法的には完全に白ですが、無断転載は違法な場合があります(もちろん引用の要件を満たせば白なんですが)。そうなると道義的問題以前の話ですから、今回のもなみさんの質問自体成り立たなくなります。
なので、落としどころとしては「違法な無断リンクは存在しない。無断掲載には違法な場合がある。ネトランの違法な無断掲載は糾弾されてしかるべき」ではないでしょうか。
まあ、無断掲載されたコンテンツがそもそも諸権利的にグレーだったりすると法的にはむにゃむにゃ……なので、道義的な問題に持ち込まれがちですけど、それは無断リンクの問題とは全く別の次元の話です。