そこまで Tim 氏は DQN なのかな

今日はもなみさんのLinks and Law: Mythsを絶対とするなら、≪中略≫条件つきで個人情報晒しを認めなければならないという主張について。

もなみさんはその根拠としてLinks and Law: Myths(以下 LinkMyths)の次の一節を引用しています。

I may be more valuable to you as a person if I refer you to other people by name, phone number or URL. This doesn't mean I owe those people something.

この部分、もなみさんの訳だとこうです。

私が貴方に他人の名前や電話番号、URLを教えたら、有益かも知れません。私はそのことで相手に何があろうと責任を問われるいわれはありません

このコメント、Tim 氏がもし本気で言ってるのだとしたら、けっこう DQN な意見ですよね。ちなみに、先日も参照させて頂いたししゃものエースさんの訳ではこうです。

もし私があなたに他の人々の名前や電話番号やURLを教えてやったならば、あなたにとって私は便利な人と言えるかもしれない。しかし、だからと言って、私はそれらの人に対して責任を負うわけではない

大意は同じですが、こちらの訳の方がちょっと丁寧なので、以下ししゃものエースさんの訳を元に話を進めていきます。

この一節は次の「神話」(迷信)に対する反論として提示されています。

神話: 他の文書にリンクを張る事であなたの文書はより価値が高まる。だから(リンクを張られた側は)あなたに何らかの代価を要求する権利が存在する

ししゃものエースさんによると、この部分の原文は主語が省略されている様に見えるので誤解される余地のある文章ということなんですが、一応この訳が正しいと見なしますと(むしろそうでないと意味が通じないわけですが)、これに対する反論として「個人情報を教えたところで責任はない」というコメントはあまりに唐突すぎるように思うんですね。

私にはどうも、This doesn't mean I owe those people something.の訳に問題があるように思えます。英語に元々自信がない上に、もなみさんのメール友達に英語ネイティブな方がいらっしゃるようですので、さらに自信がなくなっちゃったんですけど、敢えてこの文の拙訳を晒しますと以下のようになります。

これは、私がそれらの人に何か貸りを作ったということではない(代価を払う必要はない)。

私はこっちのほうが意味が通じる気がするんですよね。「迷惑かかろうが知ったこっちゃねーよ」というよりは「代価を要求されるいわれはねーよ」のほうが、何らかの代価を要求する権利が存在するという「神話」への反論としては意味があると思うのです。そしたら、これは個人情報さらしによって生じる責任とは別の話ですよね。

繰り返しますけど、私はこの訳に自信がありません。もし「owe … something は『…に対して責任を負う』という意味の他に訳しようがない」ということを誰かが教えてくださったら、逆にすっきりするんですけど。

でも、どっちにも訳せるのだったら、やっぱりこの一節を根拠にして Tim 氏がとんでもないことを言っていると主張するのは NG な気がします。ま、程度の問題なんですが。

いずれにしろ、ししゃものエースさんが指摘しているように、言いたいことはわからなくもないが、あまり適切な比喩ではないというのがほんとのところではないでしょうか。

それと、蛇足かも知れませんがもう一つ。仮に「責任を負う」としか訳せない場合。この一節はリンクの例えですから Tim 氏が言いたいのは「私が他のページにリンクしたからといって、リンク先に対する責任を負うわけではない」ということになりますよね。そうすると、これの直前のコメントのもなみさんの解釈リンクした結果によって生じる問題に対する責任を取らなければならないとは正反対のことを言ってることになってしまい、いずれかの解釈が間違っている(あるいは Tim 氏は支離滅裂)ということになってしまいます。

──さて、今まで私はもなみさんの LinkMyths の解釈に対して別の解釈を提示してきたのですが、ぶっちゃけると私自身は LinkMyths についての議論はあまり意味ないと思っています。

じゃあなんでわざわざコメントしたのかとか、私自身の立場はどうなのかについて次に書いて、私の無断リンク論を終わりにしたいと思います。