例えは持ち出さない方がよい

ずっと無断リンクについて──というよりはもなQのもなみさんの意見についていろいろとコメントしたのですが、「じゃあどうすればいいのか」という話になるとほとんどお手上げです。

何か決まり事を作ったとしても、基本的にはあるコミュニティ(いわゆる「テキストサイト界」とか)のローカルルールにしかならず、結局はコミュニティの外の人との衝突を生むだけです。

そこでこの問題は、そのときに結局どのように折り合いをつけるべきか、という話になると思います。

何か議論するときにやらない方がいいことはいろいろあると思いますが、特に無断リンクの是非について議論するときに気をつけたいことを箇条書きにしてみました。

法的な議論に持ち込まない
今のところ法的には無断リンクすること自体は白ですから、例えば「著作権が云々」とか言って無断リンクは違法だとするような主張は受け入れられません。逆に、法的に白だから無断リンクして構わないと主張するのも不毛です。法的な問題だけで終わりにしてしまうと、そこから先の議論が出来ません。
W3C (特に LinkMyths)を根拠にしない
違う意見を持つ相手を説得するには論理的である必要があります。LinkMyths には、根拠薄弱で非論理的な主張が多く見受けられますから、これを根拠にして意見を異にする相手を納得させることは不可能でしょう。
Web 特有の概念を現実にあるもので例えない
「ウェブサイトは家で、トップページは玄関みたいなものだから、玄関以外のところから家に入ろうとするディープリンクは失礼です」とかいう例え話をすると、その例えが妥当かどうかの議論になってしまって話がそれてしまいます。

3つ目は特に重要だと思います。自分の意見を補強するために「例え」を持ち出すと、議論の相手はほとんどの場合「その例えはおかしい」と指摘してきます。その例えを認めてしまえば、そこから導かれる結論も認めざるを得ないからです。

しかし、Web 特有の概念を現実にある何かに例えることは不可能です(そのせいで、それぞれ問題の認識の仕方が違ってしまって議論になるわけですが)。

ただ、例えを持ち出すことは「自分が Web をどのように使っているか」の表明にはなると思います。それでも、その例えは自分の立場の表明以上の何かにはならず、それをもって相手を納得させることはほとんど不可能です。

私は、以上の 3点くらいならば誰でも納得できるのではないかと思います。その上で、この 3点にお互いが気をつければ多少は実のある議論が出来るのではないでしょうか。