次期はなさそうなマリみてアニメ春第13回

マリア様がみてる〜春〜』もついに最終回。やっぱりこの話は正視できないというか、個人的に辛すぎです。

えーと、この話を鑑賞する場合、祥子さまに感情移入できるか――つまり祥子さまが祐巳に本当のことを言えなかったことが納得できるか――がポイントになると思います。

「素直に打ち明ければいいのに」と、祐巳にほんとのことを言わない祥子さまの態度を不思議に思う意見も散見されますが、相手とちょっとこじれてしまっただけでそれができなくなってしまう人間というのがいるわけでして。私はまさにそういう人なので、祥子さまの行動に納得がいってしまいます。

それにしても憔悴しきった祥子さまは本当に見るに堪えません。そして再会シーン。条件反射的に泣けます。ここで個人的にはかなりの精神的ダメージが。こういう結末を迎えられたらよかったと、いつも思ってしまいます。薔薇は咲かなくてもいい気がしますが。

そういえば、祐巳瞳子と仲良しをアピールして右手を挙げるところは何げに有機化合物のユーキさんの黒祐巳(vsドリルの7)っぽいと思ったんですが、どうでしょうか。

ところで、アニメで特に追加された弓子さんとの再会シーンについて。まず、Transparencyの透-架さんのコメント。

で、いきなりアニメオリジナルですよね、写真とか、これはすごく良い演出だと思いますが、
小説では祥子のお祖母さまと弓子さんとは友達なのかどうかというのは不明なままというか、
ほぼ確定ではあるんですけど、祐巳が「夢のような話ってあまりいじりたくない」で占められています。
アニメの場合はそこをあえていじってきたみたいですね。

いばらの森』のときもそうだったんですが、原作者はこういうときに、ほぼ確定的にしておきながら最終的にははっきりさせない傾向があります。で、『いばらの森』のときもアニメではそこのところをはっきり描写していました。そのときは蛇足であるように感じたのですが、今回は透-架さんが好意的なように私も良い演出だと思いました。

Snow Mousseの雪華さんも

亡くなる間際に弓子さんに会えたお祖母さまは幸せだったでしょう。
写真とかの演出がアニメならではというかアニメでは珍しく見所が(マテ

と(この演出については)好評価。

いばらの森』の場合は、割と必然的な再会なんですよね。ほとんど偶然の要素が絡んできません(白薔薇さまのエピソードとの類似は偶然ですが、それとは関係なく再会はします)。どうあっても「人違いでした」にはなりそうにありません。だからその辺はっきりさせても、蛇足もいいところ――というか野暮以外の何者でもないわけで。

一方、この話での再会は偶然の要素が積み重なった再会で、持って行かれた傘が帰ってくるくらいの奇跡です(もっとも「いや、偶然ではなく必然だったのだ」というのがこの話のテーマになのですが)。そこで「人違いでした」じゃ、やっぱり白けてしまうわけで(しかもその可能性がなくもないわけで)、そういう意味で今回の演出は受け入れられたのでしょう。

なお、エロチック街道のヘッドさんは

おばあさまたち、あなたあなたと呼び合ってるのな。お姉さま、とか言うとさすがに変だと思ったのかもしれないが。

という指摘。確かに「お姉さま」だと変かもしれません。けど、こっちのほうが泣けますねぇ。万感の思いを込めて呼ぶ「お姉さま」――ああ、なんか想像しただけで「くる」ものが。

さて、最後なので全体的な感想など。前期は全体的に話がダイジェスト過ぎてアニメ観ても全く感動できなかったんですが、今期は足りない部分は脳内補完で感動できました。その多くは原作の持つ力に因るところが大きいのでしょうけども、脚本をカットするときにちまちまと残さずにバッサリ切る方針に切り替わったのが良かったと思います。あと、意外に「黄薔薇注意報」が名作になっていたように思います。アニメ版でのベストを選べと言われたら、私ならこれですね。

期待される次期ですが、瞳子の描かれ方からして、次はなさそうな感じです。もしあったとしたら今期で徹底的に悪役にされた瞳子がどうフォローされるのかが見物です。

視聴率的にはかなり低い部類だったようですけども(Ref. ドメインパーキング)、この手のアニメはDVDの売り上げでフォローするようなので、どっちかというとDVDが出てからが勝負なんでしょうかね。だとしても、結局スポンサーが付かないとダメな気もするんですが、どうなんでしょう。