キーワードを「殺す」手続きを決める話

はてなダイアリーでは、はてなダイアリー市民なら誰でもキーワードを作ったり削除したりできるのですが、特にキーワードを削除するときに若干もめることがあります。

あまりにもめる場合は「はてな評議会」が発動するのですが、いちいち評議会にかけるのは煩わしいこともあり、いま半自動で削除するシステムが検討されています(Ref. キーワード削除投票システム案)。

で、いまそれに関するアンケートがとられているのですが、いまのところダブルスコアで賛成が反対を上回っています。しかしながら、これについて何か意見を述べている人はほとんどが何らかの理由で反対しています。

いったいどういうわけでしょうか。

キーワードの削除については以前はてな公聴会なるものが開かれてまして、今回の案はそのときの議論を元にしている様子です。私もこの公聴会に参加して、少々意見を述べさせて頂きました(Ref. キーワードルール改定に関する意見-1キーワードルール改定に関する意見-2)。

前回の論点はキーワード登録ルールを改訂しようということでした。今回の論点はキーワード削除ルールを改訂しよう(自動化しよう)ということで微妙に異なりますが、いずれにしろキーワードの有用性(意義)が鍵になります。

はてなによる案では、キーワードの意義を次の2つとしています。

  1. 同じキーワードを使っている日記を探しだすことができる(自動リンクシステム的側面
  2. キーワードについての有益な情報を得ることができる(辞書・百科事典的側面)

このようにキーワードの意義を決めておくことは、議論の上では意味があります。でも、キーワードの削除を自動化するには、キーワードの意義を客観的に判断する仕組みを考えなければなりません。

実は、既にはてなのキーワードにはモデレーションシステムが実装されています。これはどういうものかというと、まずユーザが自分の日記へのリンクの可否を投票することで、キーワード毎にスコアが定まります。さらに、ユーザは自分の日記にスコアの閾値を設定することができます。スコアがこの閾値を下回るキーワードは自動リンクされないというわけです。

今回のはてなの案は、このモデレーションシステムのスコアを削除の可否にも転用しようというものです。

ここで問題になるのが、果たしてモデレーションシステムのスコアはキーワードの意義を示す指標たり得るのかということです。このあたりが引っかかる人たちが今のはてなの案に反対意見を述べているように思われます。

私の個人的な意見を述べますと、まず今のモデレーションシステムはそれなりにうまく機能していると思っています。つまり、スコアを削除基準にしても基本的に支障はないと考えます。

この見解の相違は、自分がモデレーションシステムで投票するときにどういう基準で投票しているかという点に起因していそうです。

多分ですね、ほとんどの人にとっては「リンク不可のキーワード=削除すべきキーワード」なんですね。区別なんてしていないし、する必要もないと考えているのではないでしょうか。何で分ける必要がないかというと、ひとえに自分の利便性を基準にしているからです。

一方、「リンク不可≠削除すべき」という人は、「はてな全体の利便性」を考えているように見えます。つまり「リンク不可」なのは自分の都合だけども、「削除すべき」かどうかは別の問題で、はてな全体の利便性を視野に入れて考えなければならないと思っている──さらに付け加えると、それは多数決で決まるものではないと考えているのだと思われます。

ただ、ですね。特に誰の意見がどうだというわけではないのですが、その代案として挙げられている評価基準がいずれも複雑すぎる気がします。もっと単純に、わかりやすく、ライトユーザでもその意味が分かるようにしておかないと、せっかくナイスアイディアでもそれが正しく反映されません。だって、大半の人がその意味が分からずに関わることになるわけですからね。

そういう意味では、今のモデレーションシステムも本来の役目を果たしていない可能性があります。少なくとも、今やってるアンケートで賛成に投票している人たちは「リンク不可=削除すべき」という基準で投票していることになるわけですから。

そんなこんなで結局、事実上「削除の可否」の集計結果になってしまっているモデレーションシステムのスコアをもって削除基準にするという案はそれなりに正当性があると言えましょう。

「いや。オレに殺せなかったものを、おまえは今殺したんだなって」

──なんてフレーズがいま頭をよぎりました。深い意味はないです。