『さきミル』はきれいなプレゼント(中身はともかく)

ゆびさきミルクティー3巻

今日は、以前この日記でも触れたゆびさきミルクティー』の 3巻の発売日なので、早速買って読みました。

前回が「レイニーブルー」並に絶望的ラストだった割に、比較的あっさりでした。3話ぐらい使ってドロドロの展開になるかと思ったんですが。

それにしても、登場人物増えるのはいいけど描き分けてくれー、って感じです。顔の描き方がほとんど同じなせいで、アップになるとかなり判別が困難です。特に主人公の由紀(♂)が女装しても自然な顔という設定のせいで、かなりの混乱を招きます。AA で表現するとこんな感じです。

( ・ー・):由紀(主人公)
∬*・ー・)ユキ(女装した主人公)
从*・ー・从:ひだり(幼なじみ)
川*・ー・):みなも(クラスメイト)
川* ・ー・):未記(主人公の姉)
川* ・ー・):加賀見(ひだりのクラスメイト)
(*・ー・):乃木(みなもの友達)
( ・∀・):亘(主人公の友達)

いや、ほんとに。

それに主人公がもう、ほんとどうしょうもないというか。妄想全開の16話は必見。

しかしまあ、なんですか。さんざんおちょくっといて言うのもなんですが、なんかいいです。この作品。主人公は幼なじみとクラスメイトの二人の女の子を泣かせまくっているわけですが、そのぶん自分も傷ついているという、だらしないところがツボです。

こう書くと身も蓋もないのですが、どういうわけか読後感はマイナスではありません。メリハリがしっかりしているからでしょうか。毎回毎回きちんと決めゼリフがあって、それが効果的に働いています。

それはちょうどきれいにラップしてあるプレゼントのようで、中身はきっとさほどいいものではないのです。つまり中身は男のズルさであり、身勝手さであり、ご都合主義的な展開であったりするのですが、それが演出やセリフ回しによってきれいにラップされているのでプレゼントとしては(すなわち作品としては)美しいのです。

そんなわけで、プレゼントの中身にしか興味がない人は、この作品を完全に楽しむことはできないと思います。包装紙をきれいにはがして、たたんで取っておくような人にお勧めです。

それにしても今回もいいところで切れてます。「引き」がうまいです。編集さんの手腕でしょうか。いわゆる「単行本派」の私にとっては拷問に近いです。あーもう。