ゲストが二人のポワロとマープル第27回

今週の名探偵ポワロとマープルは「動機と機会」でした。連作『火曜の夜のつどい』の中の一編です。原作の方では「動機対機会」となっていまして、内容的にはこっちの方がしっくり来ます。

「青いゼラニウム」でもそうでしたが、クリスティの短編では「科学的(と言うほどでもないけど)」なトリックの作品に良いものが散見されます。この「動機対機会」もその一編と言えましょう。あと私が好みなのは『謎のクィン氏 (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-39 クリスティー短編集 5)』所収の「ヘレンの顔」です。

面白いのは、トリックの傾向は似通っていてもそれぞれ味付けは全然違うところです。「動機対機会」は極めて純粋なミステリ、「青いゼラニウム」はホラー、「ヘレンの顔」はサスペンスになっています。クリスティの作家としての腕がここにあらわれています。

さてアニメの方ですが、先週いなかった分の埋め合わせなのか、今回のゲストは唐沢寿明氏と山本晋也氏の二人でした。山本晋也氏はともかく(まあ、ズレてはいませんでしたが)、唐沢寿明氏の演技はばっちりでした。最近は妙なゲストが出なくて嬉しい限りです。

アガサ・クリスティー紀行は「クリームティー 〜デボン地方〜」でした。クリームティーというのはスコーンにクロテッドクリームをつけて出すセットのことで、アガサの好物だったんだそうです。

クロテッドクリームと言えば、『西洋骨董洋菓子店』にも出てきてやたらとうまそうでした。食べてみたいなー。