マーケティングの観点からハピマテ祭りを解釈

ネギま!』の話ばっかりで恐縮ですが、ひとまずこれで最後です。

CDTVでのランキングが注目された「ハッピー☆マテリアル」ですが、4位ということでコメント無し。特にハピマテがスルーされたというわけではなく、他の曲も同様の扱いだったので何とも言えない微妙な結果に。

ところで、このハピマテ祭りは「オタク・マーケティーズ」の一例であるという指摘がありました。

「マーケティーズ」という言葉は耳慣れませんが、これは「マーケティング」と「tease(いじめる、からかう)」との合成語で、『ポストモダンマーケティング』という本に詳しいそうです。上記記事の筆者によるレビューがあります。

客が満足する方向を模索するのが「マーケティング」ですが、そうじゃないほうが成功する場合があるという話なんだそうで。次のような場合が一例としてあげられています。

例えば、「初回限定版には豪華六大特典が! そして通常版には通常版のみの特典が!」みたいなやつとかね。いや、何のことというわけでは無いのですが。

あー、いわゆる曲芸商法ですね。

曲芸商法についてははてなキーワードの解説に詳しくあるように、割と前から指摘されていることではあります。

でも面白いのは、日本のエロゲ業界という極めてニッチな市場で行われていることが、そんな事情など恐らく知らないであろう海外の専門家によって「それもマーケティングの一つの方法である」とされて名前まで付いているということです。

で、ハピマテですが、同じ曲をバージョン違いで出すとかいうあたり、ハピマテ曲芸商法の一種だとする意見があってもおかしくはありません──が、勘違いすべきでないのは、ここで「マーケティーズ」だと指摘されているのは「ハピマテが」ではなく「ハピマテ祭りが」であるということです。

実はハピマテそれ自体はあまり曲芸商法っぽくないんですね。曲も割とちゃんとアレンジされてたり、声優のコメントが入ってたり、「スカカード」がついてきたり、今どき税込735円だったりと、ファンサービスとしてはかなりきちんとしています。ターゲットを考えれば顧客満足度は比較的高いものだと見なして構わないでしょう。

なんにしても、ハピマテ祭りを曲芸商法の枠組みの中で解釈するのは無理があります。

実は「マーケティーズ」には要素が5つあって、その頭文字を並べるとTEASEになるんだそうで。なので、これらの要素をそれぞれ検討する必要があるんですね。上記レビューの筆者はネタバレになるといってこれらの要素が何かを書いていませんが、ぶっちゃけこれが分からないと、せっかくの分析がちんぷんかんぷんです。

で、ちょっと調べたら別のレビューに説明がありました。

Trick(トリック)、Exclusivity(限定)、Amplification(増幅)、Secrecy(秘密)、Entertainment(エンターテイメント)の頭文字を取ったものです。

これらがハピマテ祭りの件にどう対応するかは記事を読んで頂いたほうがよいわけですが、ポイントはこの「ハピマテ祭り」は、メディア、特にTVにおける「オタクバッシング」が、廻りまわって「ハッピー☆マテリアル」の販促に繋がった、という風に解釈できるという指摘でしょう。

特にメーカーや広告代理店が率先して何かして云々というわけでは(恐らく)ないのですが、オタクが世間様から後ろ指指されている状態とそれを取り巻く環境とがうまくマーケティーズの構図に収まっているように見えるという話なんですね。

世間様のアニソンに対する抑圧がハピマテ祭りの原動力となった──という解釈は今更ですが、これがマーケティングの理屈として既にあると思うと「なんとなく怖くねえか?」という気がしてきますね。